はじめに
模擬刀から真剣に買い替えて、4年半が経ちました。
先週の稽古で、久々に手を切ってしまったので、自戒の念を込めて「真剣の思い出」を振り返ってみたいと思います。
真剣欲しいなぁと思っている方の参考になれば幸いです。
模擬刀と真剣の違い
遠目に見ると、違いはよく分からないですね。
でも、刃を見ると、鋭利さが全然違います。ペーパーナイフと刺身包丁くらい違うと思います。
ただ、「切れないのが模擬刀、切れるのが真剣」とよく言われますが、個人的には、「あんまり切れないのが模擬刀、べらぼうに切れるのが真剣」だと思っています。
模擬刀でも、段ボールくらいなら余裕で切れます!
真剣は、力を入れなくても、ちょっと引けば皮膚が切れます。
あと、真剣は鋼(鉄)なので錆びます。お手入れ大事です。
真剣は刀鍛冶等の職人さんが、昔ながらの製法(叩いたり熱したり)で1つ1つ手作りしています。
「真剣って5kgくらいあるの?」と聞かれますが、そんなにありません!そんなの振ってたら肘が壊れます。私が使っている真剣で、刀身(鍔とか装飾品なしの状態)が800gちょっとです。
ちなみに模擬刀は合金です。砂型鋳造製法など(型に合金を流し込んで固める)で作っているみたいです。
真剣ってどこで買うの? いくらするの?
私は実店舗(武道具屋さん)で新品を買いました。
65万円也!!さよならボーナス。
(模擬刀もこちら↑の武道具屋さんに行って買いました。)
私は背が小さいので、刀も短め(2尺2寸5分)を使っています。短めの刀って、中古の流通が少ないんですよ。新品も、在庫は1つしかなくて、選ぶ余地がなく。。プラス5万でオーダーメイドで作ることもできるよ!って言われたけど、なんかもう、そこまで贅沢できないと思い既製品を買いました。
男性用の標準(2尺4寸くらい)なら、中古の流通も多いので、ネットとか、実店舗で売ってる中古から選べるんですけどね。
中古だと、20~30万くらいで買えるみたいです。いや、それでも、模擬刀(3万円前後)に比べるとべらぼうに高いよね。。
あと、大きな試合だと、試合会場に武道具屋さんがくるので、そこで買う方法もあります。
刀の重さは同じでも、重心が違うと振った感じとか刃音とかが違ってくるので、実際に振ってみてから買った方がいいとは思います。
模擬刀から真剣に買い替えるタイミングはいつ?
いつでもいいです!!
道場によっては暗黙のルールみたいなのがあるのかもしれませんが、私が通う道場では、特に決まりはありません。
買いたいな!って思ったタイミングが買い時です!
もちろん先生に「そろそろ真剣を買ってもいいでしょうか?」と相談しますが、反対されることはなく、むしろ、
おっ!!買う気になったか!高い投資をするから、もう居合をやめられないね!!ウッシッシ。
と背中を押してくださいます。
早い人だと、入門してから1年くらいで真剣に買い替えていました。
ちなみに私は、真剣を買おう!って思うまでに10年かかりました。。だって怖いじゃん。できることなら、一生模擬刀を使いたい!!とすら思っていました。でも、不思議なもので、ある日急に、真剣が欲しい!と思っちゃったんですよね。これが私のタイミングだったのでしょう。
ただ、6段以上の昇段審査は「真剣であること」を指定されていて、試合要綱等にも、「5段以上は真剣が好ましい」みたいに書かれているので、5段以上の人はだいたい真剣を使っています。
5段以上だけが集まって稽古する高段位講習会ってのがあるんですけど、体育館にいる人全員(60人くらい)が真剣を振り回してるわけですよ。結構怖くないですか!?
初めて真剣で稽古した日
勢いで真剣を買ったはいいけど、いざ振るってなると、もうビビり過ぎて、刀を持つ手がガチガチでした。
手を離したら刀飛んでいくじゃん?そしたら誰かに刺さるじゃん?って妄想して、怖くて怖くて、涙目になってました。
なんでみんな普通に振ってるの!?こんな危ないもの振り回しちゃダメだよね!?
あと、重い。とにかく重い。
それまで使っていた模擬刀と長さは変わってなくて、重さも100g重くなっただけなのに、めちゃくちゃ重くて、100gでこんなに違うの!?って戸惑いました。単に重いんじゃなくて、ずっしりしてるというか、、、体感でいうとプラス1kgくらいは重くなった感じがしました。。
真剣を振った後に、模擬刀を振ってみたら、竹光か!?ってくらい軽く感じました。
結局、真剣の重さに慣れるまでに4年かかりました。
重いのに無理してブンブン振ってたから、変なところに力が入るし、変な持ち方になるし。本来ならば小指の方に力を入れて、下筋で振らないといけないのに、親指の方に力が入ってしまって、上筋で振るようになっていました。片手切りのときは、右手の中指で無理やり支えようとして、集中的に負荷がかかったせいか、ガングリオンができてしまいました。。
今やっと重さに慣れてきたので、振り方とかを修正中です。
血を吸う妖刀になる
「この刀、すでに人の血を吸っとるよ!!」
兄弟子に教わった居合道ジョークです。
納刀に失敗したときに、親指の腹をサクッと切ることが多いですね。切った瞬間は気づかないんですよね。だんだん、じわじわと痛くなってきて、あれ?と見たら血が垂れてる~。あ~やっちゃった。。みたいな感じです。割と冷静です。
真剣での稽古の初日にやらかす人が多いです。なので、だいたい初日に血を吸う妖刀に昇華します!(私もこのパターンでした。。)
でも、切れ味がいいからか、1週間くらいで治ります。(包丁で手を切った時よりも治りが早い気がします。)
鞘から刀を抜くときに、親指の腹や、人差し指の腹をサクッと切るバージョンもあります。これは、ちょっと真剣に狎れてきたころに、やらかすことが多いです。
私も先週の稽古で、このバージョンをやってしまいました。
稽古を再開して2,3ヶ月で、ちょうど気が緩んでいたんですよね。。自分が真剣を扱っているっていう感覚が薄れてきていました。
鞘から刀を抜くときに、親指と人差し指の間の水かきの部分を切る人もいます。このバージョンはちょっと治りが遅いみたいなので要注意です。
私はまだこのバージョンはないですが、まぁそのうちやっちゃうだろうなとは思っています。。
切っちゃったときは、「未熟者め!」って感じでちょっとニヤニヤしながら、誰かが絆創膏を恵んでくれます!
ちなみに、今のところ、毎回、傷口は5mmくらいなんですけど、血がめっちゃ出たときもありました!親指から肘まで血が流れてきて、床にポタポタ垂れたことも。。
「この小さい傷口からこんなに血がでるのか!?」とびっくりしました。
真剣で切りあっていた時代、恐ろしや~。
おわりに
真剣だと、模擬刀よりも緊張感をもって稽古することができるのは間違いないと思います。
でも、やはり「慣れ」じゃなくて「狎れ」てくると、ケガにつながります。
当初は涙目で振っていたのに、先週は、振っているのが真剣であることを忘れてしまうくらい狎れていましたね。今一度、気を引き締めねば!と反省しました。
これから真剣を買う方も、大ケガなきよう、真剣ライフを楽しんでください~!